2022.02.21 Mon
ドライブマイカー
先日久しぶりに映画館へ
朝いつもより早起きして
9:30上映開始のTOHOシネマズ梅田へ
久しぶりにしては少し気の重い2時間59分の長編映画「ドライブマイカー」
を観てきました。

事の発端は
たまたま読んでいた村上春樹著の
「女のいない男たち」
とゆう短編小説集を読んでいて
作中に出てくるサーブ900をWEBで検索していたら、
あ映画やってると思い早速観にいきました。
(世間的に映画自体は昨年結構話題になってたみたいなんですが、全然知らんかったwちなみに今回見たのは再公演)

本編は
原作に収録されている「ドライブマイカー」と「シェエラザード」と「木野」が混ざった世界観で、
受動的でごく普通で、平静を装いながら、心に深く傷を負った西島秀俊さん演じる家福が、
同じく心に傷を持つドライバーの少女ミサキ(三浦透子さん)と、
送り迎えでの車の中で、徐々に自分と向き合い、心の傷にも向き合い、背負いながら生きていく、生きていかなければならない、といったヒューマンドラマなのですが、
これ2時間59分の長尺。
結果を言うとあっと言う間でした。
映像がきれいだったのはあるけど
ほとんどが車の中だし、対話の多い映画なのに、何故か終始ドキドキが止まらない。
次にどんな展開が来るのか気になって仕方がない。
面白い小説や漫画を一気に読み終わってしまうあの感じです。
チェーホフのワーニャおじさんの話が劇中ずっと絡んでいて
家福が舞台俳優で演出家の役でワーニャおじさんの舞台を行う過程が描かれていて
演者たちが、セリフの感情を完全に抜いて(ベテランの役者ほど難しいらしい)読み合う本読みのシーンがあるんですけど、
すごい独特で、
後で調べて知ったのですが、
この映画の監督濱口竜介さんが、実際の映画撮影でも取り入れてるみたいで、
完全に感情を抜いて本読みを徹底した後、本番で新鮮な感情で芝居が出来る、らしいです。
本作中に、それを表現しているシーンがあって本読みの後、芝居の稽古中、演者同士の感情が高まり泣いてしまう
家福が「今演じてる2人の中で、何かが起こった。見ている自分たちもそれを感じた。これを舞台を観にきた観客も巻きこんで行かなければならない。」とゆうセリフがあって
その時の本人同士でないとわからない感情であったり、なんか芝居を超えた演出とゆうか、うまく言えないですが、
ただの言葉のやり取りだけで、ドキドキして感情を持っていかれ、2時間59分があっとゆう間に感じたのはこうゆう事なのかなと思いました。
失意と絶望に陥りながら、自殺もならず、悲劇は死ぬことにではなく、生きることにあるという作者独自のテーマを示す『ワーニヤ伯父さん』
と解説されているワーニャおじさんのストーリーと本作がうまく絡んでいて、最初は気づかなかったんですが、
ワーニャおじさんの主人公と家福が同じ境遇なんですよね。
伏線がたくさん散りばめられて、回収していくお話ってよくあると思うんですが、このお話は伏線が回収されるとゆうよりか、ずっと隣にいながら話が進むみたいに色んなストーリーや出来事が複雑に絡みあって
村上春樹作品特有のモヤっとした結末ではなく、割とスッキリする終わりかたに感じました。
あと物語全般に出てくる古い北欧車
サーブ900がかっこいい。
次に乗りたい車が決まりました。
最初は意味がわからないことが多くて、何故かわからないけど魅入ってしまう。
本当に不思議だったし、新しく感じた映画でした。
もともと余韻のある映画は好きでしたが、余韻がありすぎるとゆうか、見終わった後にたくさん調べて、答え合わせをしたくなる、考察したくなる映画です。
オススメは原作の女のいない男たちとワーニャおじさんを読んでから観るとめちゃストーリーが入ってきやすいと思います(rossoに置いてあります)
演者の西島秀俊さんが役柄にハマっていて普通で、人間の弱さもさらけ出して、カッコ悪いとこがあって、なんとも言えない哀愁が逆にカッコよく見えて
同じく霧島れいかさんも魅力的な女性に描かれている役柄にピッタリで、車の中で霧島さん演じる音(役名)の朗読が流れるのですが、声がすごいいい。年齢を重ねる美しさって素敵やなと思いました。
時間を作って観にいく価値はあるかなとは思います。
僕も2回目観にいく時間を作りたいと思っています。
松井